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2015年7月10日 (金)

命を削りながら

オークションにVT-52シングルアンプが出品されている。

いつも出品されている方で、今回もいつもながらのデザインのアンプだなあと思って、商品説明を読んでおどろいた。

癌と闘いながら、アンプを作っておられることが書いてあった。長く入院されていたが、今回退院し、体調のよいときは起き上がって製作されたとのこと。

もうこれで160台程度の出品回数になるそうだ。

過去から共通してシンプルなデザインで、必ずサイドウッドが着いている。そしてシングルアンプが多い。配線は丁寧できれいだ。

製作者のお人柄なのだろう。

現在は抗がん剤を服用されているとのこと。製作出品台数から言えば私の10倍を越える台数です。

 アンプを作り続けていると、製作者にしかわからない気持ちがある。これは言葉で表現できない感情である。

私はまだ寡作の部類だが、連続して続けるには、ある種の覚悟や決意が必要となる。シャーシ裏をみると、製作者の過去の変遷が分かる。なぜ今回、そこをそういう風に配線したかが読み取れるときがある。

 何台も繰り返していると、時には逡巡するときがある。新しい形を取り入れる決定に進むときもあれば、過去に戻るときもある。

最新作がノウハウ結晶の形を見せてくれる時もあれば、そうでない時もある。ただただ、作れるありがたみに感謝することもある。

しかしながら、この方のように自分の意思に反して作れなくなることもある。このときは苦しい。私だったらどうなるだろうか。

もう10年以上前になると思うが、北九州のKトランスの主宰者が、やはり病と闘いながら一巻、一巻、トランスを巻いたそうだ。周りの方の話を聞くとその鬼気迫る姿が、目に焼き付いて離れなかったそうだ。

私もあと20年元気でいられる保証はない。まして人はいつどうなるか分からない。

今できることは、このアンプは解体するのは勿体ないから、このままにしておこうと思っていただける作品になるよう、努力するということだろうと思う。

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