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2013年6月16日 (日)

瀬川冬樹氏の文章

先日、書店でちらと読んで、また陳列棚に戻して帰ってきたのだけれど。

今日、もう一度書店で手にして読んでいたら、文章に引きづり込まれて、そのまま帰れなくなってしまい、購入することになってしまった。

瀬川冬樹氏がかつて、ステレオサウンドに書いた文章を集めて単行本として発行された「良い音とは、良いスピーカーとは?」

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瀬川氏に感心するのは、彼がクリエイターであること。世の中の天才と言われた技術者たちが、卓越したアンプやスピーカーを世に送り出したのと同じように、彼の文章自体が創作品になっていること。

 音を文言で表すのは、なかなか困難なのだが、彼はどんな音かを表現するのに、自分の取った行動を書くことで成功している。

「著名なスピーカーユニットを持っていた。噂にたがわず情報量は多いが低音が不足気味であり、特定の低域周波数の再生のために、何リッターのエンクロージャーを数台用意し、試聴の結果20Hzあたりの再生音が、やっと他の著名ユニットとそん色なくなった」

このような文章表現なら、そのユニットのもつ特性がよくわかる。

具体的で読んでる方にもわかりやすい。

そのような表現で、オーディオに関する多くの記事を書いている。書籍自体が情報の宝庫のようだ。

彼のように、多くの音に関する体験記事を技術的に積極的に書いていった人は何人いるだろうか。

私は現在では、一切のオーデイオ評論家の書いた文章を読まない。ひところはメーカーに迎合して、表現の決まった文章の機械の名前のところだけを変えたような評論を多く見たが、もうさすがにそんな文章はなくなったのだろうか。

 私はかねてより、評論はその製品を使っていて、よいところも、悪いところも知ったうえで、愛用している人が書くべきだと思っている。

 

瀬川氏の文章での中に出てくる、高評価の機械は、すべからく彼がよく知っているものばかりだ。だから信用できる。

アルテック党の私でも彼のJBLのスピーカーに関する記事を読んでいると、175DLHや130Aを手もとに取り寄せて聴いてみたくなる衝動にかられる。

工業デザイナーだった彼は、ペンで原稿のうらにカメラや機械のイラストを多く遺している。それらもまたきれいで、かわいい。

感受性が強く、責任感が強く、実践して、試してみることが好きだった瀬川氏。早世が惜しまれる。

今現在、彼のレベルにある評論家はいるのだろうか。私が知らないだけかもしれない。

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