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2012年7月 7日 (土)

ラックス出力トランス 後編

前回CSZシリーズの秘密を書きました。今回はOYシリーズです。

CSZは磁気歪みの低減を開発テーマとしていました。OYは高域の特性の改善がテーマでした。

米国の多くのトランスが、高域100KHz近辺にピークを持っています。10KHzの方形波を入力すると、ほとんどといっていいほど、二次側から出てくる波形には左上部にリンギングが観測されます。

この傾向が甚だしい場合は、位相特性が悪く、発振しやすいトランスとなってしまいます。私見ですが、英国のパートリッジの製品はややこの傾向を感じます。

さて、ラックスのOYです。上原氏は高域特性の安定化をテーマにOYの開発に取り組みました。彼は巻き線の構造に着目しました。

いきなりの理論展開はむずかしく、巻線の構造を試行錯誤しながら、どうすればどうなるか傾向を探りながら進めていきました。

通常巻き線はボビンに巻いて行き、最後に鉄心コアにボビンを挿入します。このボビンの長手方向に巻いていくのですが、ただビッチリときれいに巻いても意味はないそうです。普通はP1から長手方向に巻いて端部に達したらさらにもう一層重ねていき、次は二次側を重ねていきますが、巻き終わりは成行になります。この形もうまくないそうです。

研究するうちにわかったのは、ボビン長手方向には、巻き線は連続して巻くよりも、各ブロックごとに分けて、ボビン長手にきれいに収まるようにした方がよい。各ブロック間にスペースが少し発生してもよい。

それから、各ブロックの中の巻き線構造は、一次と二次を重ねながら、その重なり具合をうまく調整していくと、高域の特性がすっきりした直線になることを発見したそうです。

1ブロックの巻線の層は10数層になりました。一次側が4層程度で、その間に二次側を食い込ませる形で重なり具合に注意して巻いていったら、結合率が上がり、最終的には100KHzまでフラットになったそうです。

OYシリーズの開発結果、わかったことは、「分割巻きで結合率を上げると高域特性が改善される」ということ。

これはラックスのパテントだそうです。

当時は製品化に際して、巻線作業員の力量によるところが大きかったそうです。上原氏の回想によると、一人の傑出した女工さんの存在に助けられたとのこと。その方は山尾加代さんという女性。

名前が製品に入ったといいますから、OYトランスをケースから出し、ピッチを取り除くとコアに紙が貼ってあり、彼女の名前が入っているのかもしれません。

さて、このパテント。今は有効期限がきれたのでしょうか。各ガレージメーカーが競ってマネをしているようです。

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